Narrow 型の掌側ロッキングプレートを用いた単純型橈骨遠位端骨折の治療成績

抄録

単純な骨折型の橈骨遠位端骨折に対し，横径の異なるvolar locking plate（VLP）を用いた臨床成績や術後矯正損失の影響を検討した．Medartis 社製のVLP で治療し，6 か月以上経過観察が可能であった35 例を対象とした．Narrow type が13 例，standard type が22 例であった．関節可動域や握力などの臨床評価は両群とも良好に回復していたが，X 線学的な評価としてnarrow type のVLP は0.5mm 以上の短縮を61.5％（standard type は4.5％）に認めた．また，術直後から最終経過観察時のulnar variance，volar tilt，radial inclination の矯正損失も有意に大きく，尺側の支持不足が原因と考えられた．矯正損失を防ぐためには，単純な骨折でもnarrow plate の使用には注意を要し，standard plate の使用を考慮すべきと考えられた．