2025 年 41 巻 5 号 p. 517-520
背側天蓋状骨片を有する橈骨遠位端骨折23 手を後ろ向きに検討した.受傷機転は半数が転落,骨折は全て背側転位で,山中分類に岡崎の突き刺さり型を加えた分類で連続型5 手,髄内型10 手,遊離型2 手,嵌頓型2 手,髄内+遊離型1 手,連続+髄内+突き刺さり型1 手,髄内+遊離+突き刺さり型1 手であった.髄内型の骨片はすべて関節面の背側に位置した.骨片の由来はLister 結節の近位橈尺側に大別され,橈側15 骨片,尺側14 骨片であり,Lister 結節は骨片の由来側に一致して骨折し,7 手ではそぎ落とされていた.以上の結果と過去の報告から,橈骨に軸圧が強くかかりLister 結節の近位で骨折が生じ,骨折部近位がくさび状になり,軸圧の方向により髄内型か,Lister 結節のみを削って関節外に出る(連続型)かのいずれかになる.軸圧が強いと背側皮質の突出は大きくなり,髄内型では手根骨に突き刺さる(突き刺さり型)か,関節の動きで先端が折れて嵌頓型になり,連続型では遊離型になるという一連の機序が考えられた.