日本手外科学会雑誌
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学術集会発表論文
指粘液嚢腫に対する関節包・骨棘切除術の治療成績
中山 裕一朗國分 直樹片岡 武史辻井 雅也
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2025 年 41 巻 6 号 p. 753-755

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抄録

DIP 関節背側の指粘液嚢腫に対する関節包・骨棘切除術の治療成績を報告する.対象は17 例20 指で,男性4 例4 指,女性13 例16 指,平均年齢65.4 歳,平均経過観察期間23.7 か月であり,爪甲変形を8 例に認めた.手術方法はDIP 関節背側を切開し,嚢腫切除はせず,終止伸筋腱両側,伸筋腱下面の関節包と中節骨側の骨棘を切除し,末節骨側の骨棘は疼痛や整容面から切除を希望された5 指のみ切除した.結果,全例で再発は認めず,平均可動域は伸展が術前-6.8 度から術後-8 度,屈曲が術前57.5 度から術後55.5 度と維持されていた.疼痛は術前7 例に認めたが術後は全例軽減し,爪甲変形も全例で改善した.合併症として創治癒遅延や創部感染は認めなかったが,末節骨側の骨棘切除を行った5 例中1 例で終止伸筋腱を損傷し修復を要した.末節骨側の骨棘切除は慎重に行う必要があるが,本法は指粘液嚢腫に対する有用な術式と考える.

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