日本手外科学会雑誌
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学術集会発表論文
上肢の脈管奇形に対する治療法の検討―当院での過去23 年の症例検討―
船木 杏奈戸澤 麻美森 秀樹
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2025 年 41 巻 6 号 p. 756-761

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抄録

愛媛大学医学部附属病院形成外科で2000 年3 月~2023 年9 月に治療介入した脈管奇形204 例のうち,上肢に発生した46 例について検討し,そのうち23 例に対して治療結果の評価を行った.部位別では頭頚部に次いで上肢発生が多く(22.5%),上肢の中では静脈奇形(Venous malformation:VM)と動静脈奇形(Arteriovenous malformation:AVM)が手部より遠位に多くみられた(リンパ管奇形(Lymphatic malformation:LM)30%,VM 64%,AVM 62.5%).全体として女性に多い傾向(1:1.4)がみられ,治療開始平均年齢はLM が12.4 歳,VM が20.5 歳,AVM が31.3 歳であった.LM やVM では手術単独で治療できた症例(LM 50%,VM 64.3%)は予後が良好であり,硬化療法単独で治療可能な症例も10~20%程度みられた.残りの約30%の難治症例に対しては,硬化療法と手術を組み合わせることで治療可能な症例もあるが,これらの治療法では限界がある.AVM に関しても完全切除できない症例は治療が困難であり,症状緩和としての塞栓療法・硬化療法が行われていた.

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