2025 年 41 巻 6 号 p. 762-768
遠隔地の三次医療機関にて初期治療が行われた重度上肢外傷の2 例を,早期再建目的に受け入れて治療する機会を得た.急性期に遊離皮弁と腱移行を伴う再建を行い,早期に自動関節可動域訓練と腱滑走訓練を実施した.上肢外傷に対するハンドセラピィにおいては,機能手をいかに再獲得しうるかが重要となる.今回,拘縮を回避しながらつまみと把持機能を獲得できたことにより,日常生活に大きな支障なく実用手まで改善が得られた.早期の腱移行を伴う再建は,機能温存に有効と考えられる.