2025 年 41 巻 6 号 p. 816-819
橈骨遠位端骨折(DRF)は高齢者の中でも比較的年齢が若い患者に発生し,脆弱性骨折の初発骨折となる頻度が高いため,骨粗鬆症治療介入の好機とされる.一方,二重エネルギーX 線吸収法による骨密度測定は骨折リスク評価のgold standard とされているが,皮質骨と海綿骨の骨密度を各々測定することは困難である.DRF ではCT 検査による骨折評価の頻度が高く,CT 検査で使用するHounsfield Unit(HU)値は骨密度との相関性が報告されている.今回,女性DRF 患者および非骨折患者における有頭骨の皮質骨および海綿骨のHU 値を比較検討した.対象は転倒により受傷しCT 撮影を施行した40 歳以上の女性DRF 患者106 例と非骨折群120 例である.脆弱性骨折および骨粗鬆症治療既往症例は除外した.それぞれ冠状断での有頭骨全体,皮質骨のみおよび海綿骨のみのHU 値を測定し比較検討した.HU 値は有頭骨全体,皮質骨のみおよび海綿骨のみの全てにおいてDRF 群で有意に低下しており,女性DRF 患者では皮質骨および海綿骨の両方の骨強度低下が要因となり,二次骨折リスクが増加する可能性が示唆された.