日本手外科学会雑誌
Online ISSN : 2188-1820
Print ISSN : 2185-4092
学術集会発表論文
有頭骨のHounsfield Unit 値を用いた女性橈骨遠位端骨折患者の皮質骨および海綿骨の骨強度の比較検討
大森 翔前田 和茂沖田 駿治楢﨑 慎二今谷 潤也
著者情報
ジャーナル 認証あり

2025 年 41 巻 6 号 p. 816-819

詳細
抄録

橈骨遠位端骨折(DRF)は高齢者の中でも比較的年齢が若い患者に発生し,脆弱性骨折の初発骨折となる頻度が高いため,骨粗鬆症治療介入の好機とされる.一方,二重エネルギーX 線吸収法による骨密度測定は骨折リスク評価のgold standard とされているが,皮質骨と海綿骨の骨密度を各々測定することは困難である.DRF ではCT 検査による骨折評価の頻度が高く,CT 検査で使用するHounsfield Unit(HU)値は骨密度との相関性が報告されている.今回,女性DRF 患者および非骨折患者における有頭骨の皮質骨および海綿骨のHU 値を比較検討した.対象は転倒により受傷しCT 撮影を施行した40 歳以上の女性DRF 患者106 例と非骨折群120 例である.脆弱性骨折および骨粗鬆症治療既往症例は除外した.それぞれ冠状断での有頭骨全体,皮質骨のみおよび海綿骨のみのHU 値を測定し比較検討した.HU 値は有頭骨全体,皮質骨のみおよび海綿骨のみの全てにおいてDRF 群で有意に低下しており,女性DRF 患者では皮質骨および海綿骨の両方の骨強度低下が要因となり,二次骨折リスクが増加する可能性が示唆された.

著者関連情報
© 2025 一般社団法人日本手外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top