2025 年 41 巻 6 号 p. 869-872
手根管開放術を行った25 例27 手に対し,術前から術後6 か月にかけて第2 虫様筋(2L)および短母指外転筋(APB)導出の運動神経遠位潜時(DML)を経時的に計測し,手根管症候群質問票(CTSI),Semmes-Weinstein test(SW test),およびAPB の徒手筋力テストの推移と比較した.いずれの指標も術後6 か月時点で有意に改善していたが,2L-DML,CTSI の症状スコアおよびSW test は術後1 か月から有意に改善し,3 か月以降は有意差を認めないという類似した術後経過を示した.また,複合筋活動電位(CMAP)導出不能例では,APB-DML より2L-DML が早期に導出可能となった.術後早期にしびれ感や感覚障害が改善していく経過は,2L-DML で評価できるものと考えられた.