2025 年 42 巻 2 号 p. 104-108
Kessler 法は,中手骨の骨孔を通して短母指伸筋(EPB)腱を掌側関節包の掌側で交差させて母指内転筋と縫合することで掌側関節包を補強する方法である.母指MP 関節掌側不安定症に対してKessler 法を応用することで手術を行った2 例を経験したので報告する.症例1,48 歳,男性.小学生の頃から左母指の不安定感を自覚するも放置していた.約1 か月前,コンセントを抜く際に脱臼感があり,以降からピンチ時に脱臼不安感を強く自覚した.ストレス撮影で背側への不安定性を認め,長掌筋(PL)腱を用いたKessler 変法による手術を行った.症例2,60 歳,男性.2 年前,転落により左母指MP 関節脱臼を受傷したが放置していた.基節骨は完全に背側脱臼し,徒手整復は不能であった.MP 関節を全周解離し,脱臼を整復したが,背側への強い不安定性がみられたため,Kessler 法を行った.2 例とも不安定性は改善し,良好な結果であった.