2025 年 42 巻 2 号 p. 56-60
指尖のグロムス腫瘍を爪甲下発生例と指腹部発生例に大別し,それぞれの臨床像および病理像を比較検討した.対象は2012 年8 月~2024 年1 月に手術を行い,術後半年以上経過観察可能であった指尖発生のグロムス腫瘍患者10 例(爪甲下6 例,指腹部4 例)である.爪甲下および指腹部共に女性に多くみられた.自発痛・圧痛,寒冷時痛を両者に認め,指腹部発生は母指に少ない傾向があり,bule spot を認めなかった.全例に腫瘍切除を行い,症状は消失し再発を認めていない.病理学的には,全例において腫瘍実質に神経が迷入し,腫瘍細胞とともに神経細胞や線維が増殖しており,疼痛や知覚過敏の原因となっている可能性が考えられた.また,全例において腫瘍実質および周囲に粘液沈着を伴っていた.本腫瘍の臨床的特徴と粘液沈着の程度に関しては過去に少数の報告があるが,罹病期間や疼痛などの臨床像との関連は未だ明らかにされていない.今後,臨床像と病理組織像との関連性についてのさらなる究明が待たれる.