当院は北海道の日高支庁にあり,周辺地域は競走馬の全国生産8 割を占める国内最大の産地である.一方,本邦では海外と比較して馬関連外傷の報告は少ない.今回,馬関連外傷における上肢外傷について調査した.2019 年~2023 年に当科を受診した上肢および上肢帯の外傷患者は1047 例であり,その中で競走馬に関連した外傷は123 例であった.傷病名は骨折が95 例であり,指節骨骨折,中手骨骨折が多い傾向にあった.骨折以外の外傷は28 例であり,肩関節脱臼が多い傾向にあった.受傷機転は落馬,手綱による牽引,蹴りが多かった.治療方法は保存治療が65 例,手術治療が58 例であった.馬関連外傷の特徴的な受傷機転として手綱による牽引が挙げられ,今後は手部や上肢の外傷予防の観点から装具についての検討が必要であると考えられた.また,馬関連外傷患者は,受傷機転にかかわらず強い外力により発生した可能性に留意し,診察する必要性がある.