2026 年 42 巻 4 号 p. 407-411
橈骨遠位端骨折手術症例における手根管症候群(CTS)と術前のしびれや神経伝導検査の異常との関連を調査した.術前に神経伝導検査を施行した101 例を対象とした.術前のしびれの有無と短母指外転筋遠位潜時(APB-DL)遅延(4.3ms 以上を遅延と定義)の有無に基づき4 群に分類した.術前CTS 群(しびれあり・APB-DL 遅延あり)2 例,潜在群(しびれなし・APB-DL 遅延あり)7 例,疑い群(しびれあり・APB-DL 遅延なし)11 例,正常群(しびれなし・遅延なし)81 例であった.術後に手根管開放術を必要としたのは4 例(4%)であった.内訳は術前CTS 群1 例,潜在群2 例,正常群1 例であった.術前のしびれの有無と術後手根管開放術の要否に有意な関連は認められなかった.一方で,術前APB-DL 遅延があると術後手根管開放術が有意に多く施行された.術後に手根管開放術を必要としたAPB-DL の閾値は4.9ms であり,この値を基に術後CTS の危険性を評価できる可能性がある.