日本統計学会誌
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原著論文
鞍点の凸性と曲率について
竹内 宏行
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2014 年 44 巻 1 号 p. 1-17

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抄録
退化していない確率分布が解析的特性関数を有する場合,鞍点と呼ばれる狭義単調増加関数が存在する.鞍点は期待値の近傍における振る舞いによって確率分布と一意に対応し,正規分布である場合に限り直線になるという著しい性質を持つ(竹内 (2013)).本論文では期待値の近傍における鞍点の局所凸性を曲率(sp-曲率)によって捉え,確率分布が有する情報の多くがこの凸性に含まれていることを示す.例えばsp-曲率は2次までのモーメントを伴うことにより確率分布を一意に定め,漸近正規統計量の正規分布からの乖離具合はこの曲率により極めて自然な形で評価される.sp-曲率は密度関数が存在しない場合でも,特に確率分布がパラメータに依存しない場合にも定義することが可能である.
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© 2014 日本統計学会
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