日本統計学会誌
Online ISSN : 2189-1478
Print ISSN : 0389-5602
ISSN-L : 0389-5602
特集:多重比較の理論と応用—最近の展開
平均母数に傾向性がある正規多群モデルにおける多重比較法に使用される分布の上側100αパーセント点
白石 高章杉浦 洋
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 44 巻 2 号 p. 271-314

詳細
抄録
分散が同一で平均に傾向性があるk群の正規分布モデルを考える.白石(2014)は,Hayter (1990)とLee and Spurrier (1995)のシングルステップの多重比較検定を優越する閉検定手順の理論を構築した.2群間のt検定統計量の最大値maxi<i (−tii)の分布の上側100α%点 (α=1−(1−α)ℓ/M, 2 ≦ ℓ ≦ Mk)を使って優越性の証明をおこなうことができる.これらの検定で用いるmaxi<i (−tii)の分布の上側100α%点を求める具体的な計算式を示す.また,Williams (1971)の逐次棄却型検定法で使われる分布の上側100α%点を求める計算式を示す.つぎに,これらの計算に現れる密度関数の性質を明らかにし,それらがLund and Bowers (1992)とStenger (1993)のsinc近似で効率的に近似できることを示す.最後にsinc近似法の例として,Hayter (1990)のシングルステップの多重比較検定を優越する閉検定手順を実行するための上側100α%点を求める計算アルゴリズムを与える.また,その有効性を数値実験により示す.
著者関連情報
© 2015 日本統計学会
前の記事 次の記事
feedback
Top