確率分布の規準化は,分布より期待値・分散という情報を取り去る作用をもつ.本論文では期待値・分散,及びそれ以外の情報への分解のひとつとして規準化を特徴づけ,そのような方法一般をγ-分解として定義する.このとき確率分布に対応する鞍点のsp-曲率はγ-分解を与えることが明らかにされる.統計量の漸近正規性を評価する場合,sp-曲率によるγ-分解が極めて自然である理由が示される.サンプルサイズに依存した統計量の漸近正規性を示す場合に限らずド・モアブル=ラプラスの定理等,母数の極限をとることにより得られる法則収束も,sp-曲率によるγ-分解を利用して証明される.