日本統計学会誌
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特集:大規模データの利活用におけるプライバシー保護
デンマークとオランダにおける医療健康データの二次利用について
伊藤 伸介
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2020 年 50 巻 1 号 p. 109-138

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抄録

ヨーロッパ諸国の中で,北欧諸国を中心に行政記録情報に基づく「レジスターベース」の統計作成システムが確立されてきた.デンマークのような北欧諸国やオランダのような国々では,学術研究のための行政記録情報の利用サービスも展開されている.それに伴い,行政記録情報の1つである医療健康データへのアクセスを可能にするための仕組みも整備されてきた.本稿では,デンマークとオランダの事例をもとに,行政記録情報としての医療健康データの二次利用の展開方向を洞察する.デンマークやオランダにおける医療健康データの二次利用の特徴は,IDによって各種のレジスターデータをリンケージした上で仮名化された医療・健康に関するデータの利用が可能になっていることである.これらの事例は,わが国における行政記録情報の利活用のあり方を検討する上でも参考になる点が少なくないと思われる.

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