2025 年 55 巻 1 号 p. 65-84
診断法の開発と性能評価は,臨床研究における主要な研究対象のひとつである.2000年代以降の多変量メタアナリシスの理論の急速な発展を受けて,診断法の正確性評価のためのメタアナリシスの方法論が確立され,現在まで,コクランレビューや国際一流誌に報告されるシステマティックレビューでも広く利用されるようになっている.診断法のメタアナリシスでは,感度・特異度などの複数の診断精度の指標を同時にモデル化し,かつ,それらの相関関係を考慮した統計モデルによる統合解析が行われる.また,多変量モデルに基づく異質性の評価指標やSummary Receiver Operating Characteristic 曲線と呼ばれる診断精度の要約指標なども用いられることとなる.従来の一変量のメタアナリシスとは異なる側面を持つ方法も多く,最新のエビデンスを正しく読み解くためには,それらの基本的な知識が必要となる.本稿では,診断法のメタアナリシスにおける理論と方法についての平易な解説を行い,また,喘息患者における好酸球性気道炎症のマーカーのメタアナリシスを事例として,実際の分析結果の読み解き方について解説する.