2026 年 55 巻 2 号 p. 213-238
情報技術の発展により,移動方向や風向などの方向データの蓄積が進みつつある現在では,方向データに対する統計的手法の重要性はより高まっている.近年では,位置の情報を用いた射影ガウス過程が提案され,2次元の方向データである角度データの空間相関の計測やクリギングによる未観測地点に対する予測が可能となった.一方で,射影ガウス過程における角度データの空間相関は等方性を仮定しており,地点間での空間相関はユークリッド距離のみを考慮したモデルとなっている.本研究では角度データの空間相関に異方性が存在する状況に対応したモデルとして,地点間の方向を考慮した距離に基づく共分散関数を用いた射影ガウス過程を提案する.提案したモデルを実データへと適用し,幾何学的異方性を考慮したことによる予測性能の改善について報告する.また,関連した時空間モデルについても議論する.