本稿では,2010年から2022年の加工食品のPOSデータを用いて,スーパーなどの小売店舗における特売状況を観察し,平均販売価格の変化に対する特売の寄与を定量的に評価した.分析期間の90%以上において,特売における販売額が全販売額に占める割合は25%以上,特売実施頻度は15%以上であり,特売の重要性は高かった.東日本大震災後と新型コロナウイルス感染症の第1波の時期を除く平時には,通常価格の変化が平均販売価格の変化に相対的に大きな寄与をしていた.上記2つの災害時には,通常価格の変化が小さい一方で,特売における販売数量割合や特売値引率の減少が平均販売価格の上昇に寄与した.これらの結果は,加工食品の物価変動の把握には,平時においては消費者物価指数の調査対象である通常価格の観察が重要であるが,特売も小売価格形成において重要な要因であり,物価変動を精度良く把握するためには,通常価格の変化に加えて,特売状況の変化にも注目する必要があることを示唆している.