スポーツ社会学研究
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特集
男性学からみたスポーツをめぐる「女性の商品化」問題
高峰 修
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2019 年 27 巻 2 号 p. 17-27

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抄録
 本稿では、スポーツ領域における女性の商品化の問題を男性学の視点から検討した。この問題を検討するための事例として“セクシーラグビールール動画”、“女子プロ野球の美女9総選挙”、“プロ野球における女性の始球式” が取り上げられ、その内容が分析された。ワールドカップやプロリーグというホモソーシャルな場において、女性という存在はそもそも馴染まないか異質な存在である。そうした場に女性は受け入れられたが、その場に生じる違和感を緩和するために、女性はパロディ化されていた。さらに3つの事例における女性の表象には、異性愛主義を前提とする、女性に対する男性からの性的欲求、そして女性嫌悪が描かれていた。
 次に、伊藤による男らしさを示す三つの志向性(優越志向・権力志向・所有志向)と性的欲望との関係について検討した。これらの志向性が女性に向けられるとき、男らしさは異性に対する性的欲求として表れる。スポーツの実践が現代社会における男らしさを学ぶ場になっているとすれば、そして男らしさに異性への性的欲求が含まれているのであれば、現代の男たちはスポーツを通じて、異性への性的欲求を自覚し、再確認し、あるいは実現しようとしていることになる。男たちがスポーツを通じて異性への性的欲求を実現しようとしている例として、始球式に登場した女性タレントが男子中学生たちに取り囲まれる事例を示した。
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© 2019 日本スポーツ社会学会
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