抄録
本稿は、近代日本文化のひとつとして「応援団」と言う集団と空間に注目するものである。応援団と一口に述べると、観客やメディアを通した聴衆を含めた観衆を指す事にもなるが、本稿では「応援団」と称される常設の組織・集団を対象として、その文化を考察するものである。さて、この「応援団」なる集団は、その発祥を明治期にまで遡るものであるが、これまでの歩みの中で独自の思考と行動様式を構築し、また、それを堅持する傾向が強いと言われる。ところで、彼らは常に“応援団らしさ” を得る事、それを護る事にその存在価値を見出してきたとされるが、実は、彼らの文化が「祭祀的・呪術的」な側面をも包含しながら、ひとつの文化装置として機能し、各校の歴史や文化の再生産に与した事、そして彼らが学校の権力の維持強化にもその役割を果たす事になってきた点は興味深い。本稿では、応援団がこれまで如何なる文化・社会的な価値を醸成、表象してきたのか、そして、それらが日本社会における文化装置として如何に機能してきたのか、考察するものとなる。