2021 年 63 巻 2 号 p. 239-248
本研究は,医療・介護技術のシステムを題材として,技術ガバナンスレビューを通して技術イノベーション力を育成する中学校技術・家庭科技術分野の授業モデルを開発して実践を試みた。18単位時間の題材を構成し,中学3年生を対象とした実践と技術イノベーション力に関する事後調査を行った。授業の実践においては,全35チームがユーザーのニーズとチームのシーズを踏まえ,各チームで決め出した開発コンゼプトに基づいた製品モデルの開発を行うことができた。技術イノベーション力に関する事後調査では,技術の最適化に着目した調査(調査1),新しい技術的な製品やシステムのアイディアを発想して提案できる力に着目した調査(調査2)を実施した。その結果,調査1では全体の83.8%の生徒,調査2では全体の61.7%の生徒が満足できる状況と判断することができ,開発した授業モデル及び実践は,生徒の技術イノベーション力を育成することに有効であることが示された。