抄録
本研究は, 自然科学や社会科学などの正解が決まっているテーマについて, 教師と学習者および学習者間で対話を行い, その思考過程を可視化して, その特徴を分析した結果を報告している。この研究分野は, 授業研究とか授業分析と呼ばれ, 授業実践に影響をもたらした長い歴史を持っているが, その流れを概観した上で, 本研究の特徴を対比的に述べる。本研究方法については, 10の科学的課題をテーマにして, 14名の大学生を対象にして合計14の対話事例を逐語記録して, 対話の思考過程を可視化して, その特徴を分析した。その結果, 4つの対話パターンとして分類することができた。この対話パターンを検討することで, 対話における思考過程の特徴を抽出することができた。さらに, それらの特徴を模式図として表現した。本研究によって, これまでの授業分析研究にも寄与できる示唆が得られた。