日本血栓止血学会誌
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原 著
過去に治療歴のない血友病A患者に対する遺伝子組換え型血液凝固第VIII因子製剤 (リコネイト) の市販後の多施設臨床評価 (特別調査)
吉岡 章福武 勝幸新井 盛夫稲葉 浩花房 秀次三間屋 純一高松 純樹嶋緑 倫白幡 聡藤巻 道男リコネイト(PUPs)研究会
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2004 年 15 巻 6 号 p. 522-534

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抄録
過去に第VIII因子製剤による治療歴のない血友病A患者 (PUPs) を対象とした多施設共同の市販後特別調査を実施し,遺伝子組換え型第VIII因子製剤リコネイトの日常使用実態下における補充療法剤としての長期 (2年間以上) の有効性および安全性を前方視的に検討した.25例が症例登録され,22例を有効性および安全性の解析対象とした.本剤の止血効果は総出血エピソード数378出血に対し,著効226出血,有効138出血で,有効以上の有効率は96.3%であった.週3回の定期補充療法が2例 (primaryおよびsecondary prophylaxis) で実施され,2.5年以上の観察期間中,出血は1回と2回で,関節出血はなかった.副作用は5例 (22.7%) で認められ,内訳は第VIII因子インヒビター (1 Bethesda単位/ml以上) 発生が4例 (18.2%) および抗ウシ血清アルブミン (BSA) 抗体産生が1例 (4.5%) であった.第VIII因子インヒビターは,ハイレスポンダー2例,ローレスポンダー2例であり,後者の内1例では消失し,発生状況は他の第VIII因子製剤と同様と考えられた.また,抗BSA抗体産生症例では抗体産生に伴う臨床症状はなかった.以上より,リコネイトはわが国における血友病A患者のPUPsでの長期の使用において安全で有効な製剤であると考えられた.
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© 2004 日本血栓止血学会
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