抄録
要約 : 血栓性微小血管障害症(TMA)は,先天性と後天性に分けられ,後天性には特発性と,基礎疾患等に続発する二次性がある.二次性TMA の基礎疾患として最も多いのが膠原病である.膠原病患者で血小板減少,溶血性貧血を認めた場合には本症を疑うべきであり,末梢血塗抹標本での破砕赤血球の存在が診断に重要である.von Willebrand 因子の切断酵素であるADAMTS13の活性低下が診断の一助になるが,活性低下を認めない例も多い.定型的TTP では治療は血漿交換療法が第一選択であるが,膠原病関連TMA ではインヒビターの除去に加えて基礎疾患の疾患活動性の低下を目的としてステロイド治療や免疫抑制療法が必要なことも多い.膠原病関連TMA は特発性TMAと比較して,予後不良であり早期の診断と治療開始が極めて重要である.