日本血栓止血学会誌
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特集 血小板膜蛋白受容体の基礎と臨床応用
トロンボポエチン受容体
宮崎 洋
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2015 年 26 巻 1 号 p. 35-41

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抄録

要約:血小板に発現する代表的な1 回膜貫通型受容体として,トロンボポエチン(TPO)受容体のMPL が知られている.MPL は細胞質ドメインにチロシンキナーゼ活性を持たないが,細胞内のJanus kinase 2(JAK2)によるチロシンリン酸化を通じてTPO シグナルを伝達する.TPO/MPL シグナルは血小板産生を促進し,骨髄ニッチにおける造血幹細胞の静止期維持にも関わっている.先天性無巨核球性血小板減少症(congenital amegakaryocytic thrombocytopenia; CAMT)では,c-mpl 遺伝子変異により機能的なMPL の生合成が行われない.また,MPL の恒常的活性化変異は骨髄増殖性腫瘍(myeloproliferative neoplasms; MPNs)の原因の一つである.さらに,MPN の主要な原因であるJAK2 V617F 変異によるMPNs の発症にMPL の関与が示唆されている.

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© 2015 日本血栓止血学会
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