日本血栓止血学会誌
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特集 凝固検査の標準化
FDP/D dimer の標準化
福武 勝幸
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2016 年 27 巻 6 号 p. 653-658

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抄録

要約:FDP やD ダイマー測定のように,真の基準物質を得ることができない場合には,本来の標準化は困難であり,ハーモナイゼーション(調和化)が有効な方法である.つまり,ハーモナイゼーションは厳密な標準化ではなく,基準物質の代替品としてプール検体などを用いて,「標準的な検体であれば全ての検査室で概ね一致する値を示すこと」を目標とするものである.FDPやD ダイマー測定の現状とハーモナイゼーションの必要性を示すとともに,著者らの経験においても全ての検体に対して完全ではないが,診断薬間差は大幅に縮小でき,診断薬の違いを超えてエビデンスの構築や診断指標への利用の可能性が得られたことを紹介する.しかし,ハーモナイゼーションの実現のためには,世界的なコンセンサスの確立などの多くの課題があり,長期にわたる努力が必要である

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© 2016 日本血栓止血学会
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