日本輸血細胞治療学会誌
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症例
Pseudomonas aeruginosa感染によるPolyagglutinationの1症例
領家 敬子糸賀 真人福田 芳美園山 京子角森 正信小早川 義貴吾郷 浩厚
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2011 年 57 巻 1 号 p. 39-45

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抄録

汎血球凝集反応Polyagglutinationは,潜在していた赤血球抗原が感染症や血液疾患などにより血球表面に露出し,新鮮な正常成人血清と反応する現象であり,その種類も成因により様々である.成人T細胞白血病と緑膿菌感染症に関連し,汎血球凝集反応を認めたと考えられる患者を報告する.患者は53歳女性.非血縁者間骨髄移植と化学療法施行後であった.腰椎圧迫骨折にて入院中,突然心肺停止状態に陥った.蘇生後,集中治療室(ICU)入室となったが,心停止から9日後に死亡した.入室時の検査で血液培養から緑膿菌が検出され,その後の交差適合副試験で非特異凝集を認めた.血液センターで行われた検査で汎血球凝集反応Tk型と報告があったが確定には至らなかった.当院において,患者血液由来の緑膿菌株を用い追加試験を行った.菌株を培養し,培養液と正常O型赤血球を37℃にて反応させた.この赤血球を成人AB型血清と反応させたところ,反応開始から4日後に凝集反応を認め,緑膿菌による凝集誘導が示唆された.

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© 2011 日本輸血・細胞治療学会
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