2021 年 35 巻 3 号 p. 97-104
字宙用断熱材は耐放射線性,高断熱性,高耐熱性,軽量性が求められる.そこで,それらの特性を有するポリイミドフォームに着目している.新しい断熱材の開発段階において簡便かつ小型の評価装置が望まれるため,52mm径の小型試料を対象として有効熱伝導率測定を行うことを試みた.断熱材の有効熱伝導率測定は,保護熱板法によって行われるのが一般的であるが,本論文では保護熱板を用いない簡便な設計にすることで装置の小型化を目指した.しかし,高断熱かつ小型である試料を測定対象としているため,熱損失の影響が相対的に大きくなり,測定値の信頼性が低下する.そこで,試験体温度差を用いた熱流分離法を適用することで熱リークを考慮した測定を行った.また,モンテカルロ法を導入してふく射の遠隔作用を考慮した解析プログラムを作成し評価も行った.