1992 年 15 巻 2 号 p. 72-83
1975年9月から10月にかけて、放牧されていた乳牛26頭が、再生不良性貧血を伴った急性腎不全で死亡した。
湿地帯で多量に採食されていたアジア種キンコウカを、実験的に給与したところ、中毒が再現されたことから、本病はキンコウカ中毒と診断された。キンコウカのメタノール抽出エキスは、モルモットに対して致死的な経口毒性と、培養細胞に対する増殖毒性および赤血球に対する溶血活性を示した。有毒な面から、薄層クロマトグラフ上で、2種類の非溶血性のステロイドサポニンが確認され、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって単離された。主要なサポニンは、スミラゲニンおよびサルササポゲニンをアグリコンとし、26位にグルコースを、3-β位に2種類の枝分かれした3糖体を結合する、フロスタノール型サポニンであった。フロスタノール型サポニンはモルモットに対して致死的な経口毒性を示したが、in vitroでは不活性であった。しかし、このサポニンは酵素分解および酸加水分解によってスピロスタノール型に変換し、in vitroでの活性を発現した。