抄録
特徴的な牙痕からニホンマムシ(Gloydius blomhoffii)の咬症と診断した犬4症例の治療例を報告する。症例1は受傷20時間後に受診,顔面に小さな牙痕を2カ所認め浮腫と出血が見られた。症例2は受傷15分後に受診したが臨床症状は見られず,翌日,顔面に3カ所の牙痕が現れ浮腫が観察された。症例3は受傷10時間半後に受診,左上唇に牙痕が2カ所あり顔面の浮腫を認めた。症例4は夜間受傷,左前肢に牙痕が1カ所あり腫大していた。プレドニゾロンを初診時に1.0~5.0 mg/kg投与し,その後漸減,抗生物質も投与したところ,いずれの症例も1週間前後に回復した。