獣医臨床皮膚科
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22 巻, 3 号
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原著
  • Michelle L. LeRoy, David A. Senter, Dae Young Kim, Barbara Gandolfi, J ...
    2016 年 22 巻 3 号 p. 179-191
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/02
    ジャーナル フリー

    イエネコの被毛や皮膚の異常は同定が容易であり,外胚葉形成不全の疾患も出るにもなっている。新種の猫であるリコイ猫の被毛は印象的な形態を示しているが,臨床的および組織学的記述はこれまでのところ存在しない。本研究では7頭のリコイ猫ならびに7頭の皮膚科学的に健常な短毛種猫を対象に,ダーモスコーピーを用いた評価ならびに皮膚生検が行われた。全ての検体について,垂直方向および水平方向の組織切片が作成されて解析に供された。またCD3とサイトケラチン8/18に関する免疫組織化学染色が行われ,短毛種猫と比較解析が行われた。さらにダーモスコーピー画像についても比較解析が行われた。毛単位あたりの毛包数の平均値を比較したところ,リコイ猫(14.7 ± 2.9)では短毛種猫(23.4 ± 5.4)よりも低値を示した。毛単位あたりの毛包数の中央値(範囲)は,リコイ猫で1.3(0.4–5.7)であったのに対し,短毛種猫では18.8(10.6–26.6)であった。 毛包の深さの平均値(±標準偏差)は,リコイ猫で0.95 ± 0.15 mmであったのに対し,短毛種猫では1.14 ± 0.21 mmであった。一次毛の直径の平均(±標準偏差)は,リコイ猫で39 ± 0.029 μmであったのに対し,短毛種猫では47 ± 0.011 μmであった。毛単位あたりの脂腺面積の平均(±標準偏差)は,リコイ猫で19,937.7 ± 10,254.9 pixels2であったのに対し,短毛種猫では9,833.7 ± 5,784.5 pixels2であった。短毛種猫とは異なり,リコイ猫では毛包周囲または毛包上皮における軽度~重度のリンパ球浸潤が77%の毛単位で認められ,毛包は狭小化ないし拡張し,異形成を呈していた。リコイ猫は特徴的な表現型を呈し,新たな皮膚科学的疾患モデルとなる可能性が示唆された。

症例報告
  • 濱崎 さやか, 難波 信一, 難波 裕之
    2016 年 22 巻 3 号 p. 193-196
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/02
    ジャーナル フリー

    アビシニアン系短毛種猫が頭部,体幹部を中心とした脱毛を主訴に来院し,Microsprum canisM. canis)による皮膚糸状菌症と診断された。フルコナゾールの投薬開始70日以降,投薬が中断され,22ヵ月後に左側下顎口唇部に M. canisによる真菌性肉芽腫が発生した。イトラコナゾールの内服により病変は消失したが,再び投薬が中断された後に再発を繰り返して口腔内へ波及し,921日後に斃死した。以上より,皮膚糸状菌症の不十分な治療が真菌性肉芽腫を引き起こす可能性があると示唆された。

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