2024 年 30 巻 3 号 p. 147-150
6歳齢のゴールデン・レトリバーが両側前肢の肉球周囲に発生した色素脱失を伴う丘疹を主訴に来院した。病理組織学検査で上皮向性T細胞リンパ腫と診断されたため,レチノイドによる治療を開始したが十分な反応が得られなかった。そこで第204病日よりオクラシチニブに変更したところ良好な反応が得られ,明らかな副作用も認められず投与開始1年以上経過しているが良好な状態を維持している。以上より,上皮向性T細胞リンパ腫の治療法として,オクラシチニブが有効で安全に使用できる可能性が示唆された。