日本野生動物医学会誌
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原著論文
梅花鹿(Cervus nippon Temminck)の慢性フッ素中毒の骨病理像
吉川 博康藤原 弘明李 力権夏 志平潘 耀謙王 水琴吉川 尭
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1996 年 1 巻 2 号 p. 99-104

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抄録
中国吉林省の鹿牧場で、全身諸骨に骨瘤を形成した8歳と9歳の梅花鹿Cervus nippon Temminckの2例について病理学的検索を行った。いずれの症例も約7か月間, 体重比で1.08〜1.60mg/kg/dayのフッ素が混入した飼料が給与されていた。検索例の骨瘤組織中におけるフッ素含有量は499.00〜1,069.00ppmであった。剖検では四肢骨, 顔面骨などに大小の骨瘤を形成していた。病理組織学的には, 外骨膜結合組織の増生と軟骨および骨化, 類骨増生ないし新生骨梁の形成を特徴としていた。それら骨病変はPeriosteal hyperostosesの範疇に属するものと思われた。
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© 1996 日本野生動物医学会
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