抄録
中国吉林省の鹿牧場で、全身諸骨に骨瘤を形成した8歳と9歳の梅花鹿Cervus nippon Temminckの2例について病理学的検索を行った。いずれの症例も約7か月間, 体重比で1.08〜1.60mg/kg/dayのフッ素が混入した飼料が給与されていた。検索例の骨瘤組織中におけるフッ素含有量は499.00〜1,069.00ppmであった。剖検では四肢骨, 顔面骨などに大小の骨瘤を形成していた。病理組織学的には, 外骨膜結合組織の増生と軟骨および骨化, 類骨増生ないし新生骨梁の形成を特徴としていた。それら骨病変はPeriosteal hyperostosesの範疇に属するものと思われた。