1952年から2004年において剖検された,115例の鵜飼に従事していた飼育下ウミウ(Phalacrocorax capillatus)のうち3例に痛風を認めた.剖検では,全例ともに内臓漿膜,特に心外膜および肝臓被膜は灰白色チョーク様尿酸塩の沈着により肥厚し,腎実質内にも尿酸塩沈着が認められた.病理組織学的には,肥厚した漿膜と尿管内に無構造好酸性尿酸塩が沈着,尿管上皮の角化重層扁平上皮化生が全例に認められた.また,尿管は偽好酸球浸潤を伴う尿酸塩および角化物の集積によって拡張していた.重度な2例では腎臓内に痛風結節の形成が見られた.肝臓,肺,腎臓および脾臓の血管内に尿酸塩の析出による尿酸塩栓子および血栓が認められた.以上より,ウミウの痛風において,尿酸塩栓子として見られる高尿酸塩血症の原因は尿管の角化扁平上皮化生による尿管の閉塞であり,加えて,腎尿酸塩沈着が高尿酸塩血症を促進し,全身的な高度の尿酸塩沈着をもたらしたと考えられた.