日本野生動物医学会誌
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特集論文
動物園を活かす仕組みを作る大学の挑戦 ~茨城大・日立市かみね動物園・千葉市動物公園の事例から~
小針 大助
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2023 年 28 巻 1 号 p. 19-23

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抄録

 近年,動物園における研究や教育活動は必ずしも珍しいものではなくなってきているが,一般的には,まだ研究や教育の場という認識が根付いているとは言い難い。一方で大学も,市民の目に見える形で公開されている研究成果が少なく,地域に根ざしたより実践的な研究の実施とその成果の社会への還元が強く求められている。そこで本学では「地元の大学が,かかりつけの研究機関として地域の動物園をサポートすることで,双方の研究と教育機能強化を図る」ことを目指し,農学部・工学部・教育学部の教員が集まり,2015年から日立市かみね動物園と, 2020年からは千葉市動物公園と研究と教育に関する連携活動を実施している。取り組みとしては,動物園を利用した研究の推進や飼育員による研究活動の支援,動物園のイベント等に大学教員や学生が協力する一方で,大学の授業やインターンシップ等で動物園に協力いただいたりしているが,特にそれぞれの活動の中で,スタッフ一人一人の顔が見え,互いに気軽に相談できるような連携関係を作っていくことを重視している。我々の実施している連携活動は,従来他の大学と動物園の間でも実施されてきている内容で,特に斬新なものではないが,地方大学と地域の動物園が,研究と教育の連携活動を通じて地域の学術文化拠点として根付いていくための一つのモデルになればと考えている。

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