日本小児外科学会雑誌
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症例報告
腹腔鏡が診断および治療に有用であった直腸杙創の1 男児例
米山 知寿阪 龍太佐々木 隆士野瀬 聡子塚田 遼中尾 篤典山田 勇兼松 明弘奥山 宏臣
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2014 年 50 巻 5 号 p. 925-929

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抄録
小児の直腸杙創は比較的まれである.今回われわれは,尿路系に損傷を伴った直腸杙創の1 例を経験したので報告する.症例は11 歳男児.椅子の背もたれの上に立っていたところ,椅子が破損し転落.会陰部に破損した椅子の木片が刺入した.家族にて木片は抜去され,前医に救急搬送された.大腸内視鏡で径2 cm の腹膜外直腸穿通を認め,精査・加療目的で当院に転院搬送された.CT で直腸・精囊・膀胱損傷を認め,受傷後8 時間で緊急手術を施行した.試験腹腔鏡で,膀胱穿孔を認めたため,腹腔鏡下に膀胱壁を縫合閉鎖し,S 状結腸人工肛門を造設した.術後経過は良好である.腹腔内臓器損傷の検索・治療に腹腔鏡が有用であった.直腸杙創に対する腹腔鏡手術の報告は少なく,文献的考察をまじえ報告する.
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