2010 年 60 巻 1 号 p. 2-5
図書館の沿革は遠く古代国家成立時にさかのぼることができる。古代国家が成立し,その統治行為を遂行するにあたって,必要な基礎的要件の一つが統治行為遂行のための情報の集積であった。このことは古代国家も近代的経営組織も変わりはない。この観点に立てば,現代の企業内図書館が,公共的図書館の特性に捉われるのではなく,企業のガバナンスに貢献する図書館を目指さなければならない。このような問題意識の下,企業内専門図書館では収集対象となる情報資料には出版物のみならず各種の業務文書を加えたり,提供する情報には付加価値を加えたインテリジェンス・サービスの必要性を企業組織のガバナンスの観点から提唱する。