抄録
過去の企業経営を知ろうと思えば,経営体が自ら生み出した文書(経営文書)の利用が不可欠となる。ただ日本で文書というと「手書き文書」のみを連想しがちである。しかし複製技術の進展だけでなく,企業規模の拡大もあって19世紀後半から「複製文書」が経営文書の中心になっている。こうしたことを踏まえて,かつ「複製文書」のデジタル化が進行していることを考えにいれながら文書の保存体制を整えていく必要がある。経営文書の保存について,日本の場合を考えて見ると,どこに何が保存されているかという利用者にとって重要な情報さえも整備されていないのが実情である。