2018 年 68 巻 1 号 p. 19-24
2000年にデンマークの野外ロックフェスティバルの片隅で始まった人を貸し出す図書館「ヒューマンライブラリー」は,瞬く間に世界中に広がり,現在は世界90か国以上で開催されている。日本でも大学を中心に図書館での開催もあり,筆者はゼミ活動として主催して今年9回目を迎える。すでに全国で100回程度開催されていると思われる。2017年10月には日本ヒューマンライブラリー学会も立ち上がり,研究関心も高まってきた。この仮想の「図書館」では,いったい何が行われ,何が起こっているのか。偏見の低減にも効果があるとされるこの催しの意味と効果について述べる。