公立図書館による移動図書館車の台数はゆるやかに減少傾向にあるが,近年は各地でさまざまな特徴をみることができる。本稿では,自動車という移動手段に焦点を当てた「移動する活動」(「はたらく自動車」の活動)を対象として,公立図書館による移動図書館をはじめ,民間団体等による本に関する活動,さらには移動博物館車,移動天文台車,移動販売車における活動事例を読み進める。これらを踏まえながら,こうした「はたらく自動車」の特質について,①メディアとしての自動車,②想いを運ぶ自動車,③地域の「時計」になる自動車,④境界を越える自動車,という4点の視角から序論的に解読した。