情報の科学と技術
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特集:特許情報と人工知能(AI)- II
特集:「特許情報と人工知能(AI)-Ⅱ」の編集にあたって
パテントドキュメンテーション委員会
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2018 年 68 巻 7 号 p. 315

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抄録

本誌では,昨年「特許情報と人工知能(AI)」(Vol.67 No7)という特集を発行し,システム開発者やユーザの視点から,特許情報と人工知能の関係について,それぞれ論じていただきましたが,その後の1年間で,各社より人工知能を使用した新サービス(システム)が発表されたことも追い風となって,特許情報の分析に人工知能を利用するユーザが増加しているようです。また,以前は漠然としていた「人工知能をどのように利用するのか?」ということについても,情報担当者(サーチャー・アナリスト)の要求に適合する文献を抽出するため,あるいは技術者や開発者が不要な(ノイズ)情報をフィルタリングするために導入する,など,利用者の層や利用目的も明確になってきた状況です。

一方で,人工知能を搭載したツールやサービスを利用することによって,業務が改善される可能性があることは理解していても,自社の特許情報活動へ応用する場面がイメージできない,あるいは,現在行っている特許情報の管理方法との結果の差や費用対効果が分かりにくいということもあり,導入することを迷っている方も多いと思います。

そこで,今号では前回に引き続き「特許情報と人工知能(AI)-Ⅱ」というテーマで,人工知能という技術を特許情報に利用することについて,前回とは別の観点から考察する特集を企画しました。

はじめに,野崎篤志氏の総論人工知能と特許情報業務の関わりやツールを使用する際の心得などを,パテントアナリストの視点から論じていただきました。つづく,那須川哲哉氏にはテキストアナリティクスの概要や動向,特許情報分析にテキストアナリティクスを用いることについて論じていただき,野守耕爾氏には複数の人工知能技術を組み合わせた特許情報分析から導く技術戦略の検討を,具体的な事例で論じていただきました。

富永泰規氏と久々宇篤志氏には特許文献への分類付与における付与根拠箇所推定に関して,特許庁の最新の取り組み状況を,坂元徹氏には市販ツールを使用した分析の手順と結果の考察を,田畑文也氏には海外の特許情報と人工知能という観点から,中国の政策や特許出願などについて,それぞれ解説をいただきました。

今回の特集も,「人工知能」というツールを理解し,特許情報へ人工知能を適用することの可能性を考えるきっかけとなっていただければ幸いです。

(パテントドキュメンテーション委員会)

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