情報の科学と技術
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特集:日本の電子ジャーナル出版
特集:「日本の電子ジャーナル出版」の編集にあたって
光森 奈美子
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2019 年 69 巻 11 号 p. 491

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抄録

11月号の特集は「日本の電子ジャーナル出版」です。

今や電子ジャーナルは,研究成果の公表・流通手段として欠かせない存在となりました。誌面と同じイメージの単なるPDFファイルから,HTML形式での公開が進み,現在ではXML形式による機械可読なデータが提供されることも増えています。また,論文本体だけでなく,その根拠となった研究データの公開・共有も進められています。一方で国内においては,電子ジャーナル出版への意識はありつつも,様々な理由により困難さを抱えているジャーナル出版者(大学や研究機関,学協会等)も多いように思われます。研究成果を発信するための手段である電子ジャーナル出版を進めるうえで,今どのような対応が求められており,何ができるかを考える契機としたく,この特集を企画しました。

はじめに,文部科学省 科学技術・学術政策研究所の林和弘氏に,日本の電子ジャーナル出版にまつわる現状を総括していただきました。宮川謹至氏をはじめとする科学技術振興機構(JST)情報基盤事業部の方々には,JSTが運用する電子ジャーナルプラットフォーム「J-STAGE」について,サービスの解説とともに,今後の取り組みについてご執筆いただきました。日本貿易振興機構アジア経済研究所の岸真由美氏には,ジャーナルの方針や目的に応じて,出版方法をどのように検討し,選定したのか,その経緯をご執筆いただきました。京都大学の設樂成実氏,天野絵里子氏,神谷俊郎氏には,紀要編集者にとって必要な支援や連携とは何か,「紀要編集者ネットワーク」の活動を通じて得られた知見をご執筆いただきました。国立情報学研究所の上村順一氏には,長らく国内ジャーナルの電子公開を支えてきた同研究所の電子図書館事業が,どのように始まり,どのような展開を経て終了に至ったのかをご執筆いただきました。

電子ジャーナル出版に携わる方々にとって,この特集が新たな手がかりを得る機会となれば幸いです。

(会誌編集担当委員:光森奈美子(主査),稲垣理美,今満亨崇,大橋拓真,南山泰之)

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