2019 年 69 巻 11 号 p. 529-534
学術情報の電子化と標準化が進む一方,その流通量の増加とコンテンツの多様化は,データの構造化と横断的な分析をますます困難なものにしている。近年,自然言語処理や機械学習アルゴリズムの実装や,メタデータ取得の自動化によってこれらの課題を克服しようとする学術データベースが相次いでリリースされている。本稿ではそうした新世代のデータベースのいくつかを概観し,それらが成立した背景要因として,機械可読識別子の普及やオープンなコンテンツの拡大,人工知能の学術情報サービスへの応用などについて検討するとともに,それらが今後の学術情報流通に与える影響について展望する。