2024 年 74 巻 4 号 p. 124-128
2010年代初頭から始まったオープンサイエンスの潮流は,データ駆動型科学の進展と研究の再現性・説明責任の問題を背景に,研究データをどのように適正かつ効果的に管理・流通させるかという実務的な課題となっている。これは研究者だけでなく,分野毎コミュニティ,資金配分機関等の学術活動に関わる全ステークホルダの対応を必要としている。特に,学術機関には研究者と資金配分機関等の間を仲介する役割があり,多様かつ複合的な問題に直面している。本稿では,我が国の学術機関に求められる研究データ管理の組織的支援の考え方と,現在進められている取り組みについて解説する。