現在,世界規模でオープン・アクセス(OA)の推進が進む中,学術出版のビジネスモデルは「出版モデル」が主体となりつつある。この状況において,一定規模の大学群がコンソーシアムを形成し,スケールメリットを活かして出版社と転換契約をはじめとするコンソーシアム契約を締結することは,経済的にも合理的な選択であるといえる。しかし,実際には,異なるステイクホルダー間でOAの目的や意義は異なっており,それぞれに様々な課題を抱えている。本稿では「国」「大学」「研究者」「出版社」といったステイクホルダーが抱える課題を整理し,これまでの転換契約の取り組みを振り返りながら,今後のあるべき姿について展望する。