関西医科大学雑誌
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副腎皮質細胞内脂肪滴変動に関する電顕的観察
藤田 直樹中尾 家蔵四方 伸明安永 幸二郎森井 外吉
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1992 年 44 巻 4 号 p. 246-256

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抄録

著者らのイミダゾール・パラフェニレンジアミン混液処理を応用する電顕観察を副腎皮質に試みて,その超微形態とくに細胞内脂肪滴変動に興味ある成績を得た.そのうちで,0.2μ 瓢径の微小脂肪滴までもみいだされることを強調した.ACTH32単位の腹腔内注射1時間後の成熟オスラットの血清コルチコステロン値は有意に上昇していた.その副腎皮質束状層細胞では,対照群と比較して,細胞内脂肪滴が顕著に減少したが,細胞小器官に未だ著変を認めず,微絨毛形成充進をみたのみ.形態計測的にrその脂肪滴のvolume density(Vv)や直径は対照群のそれと比べて有意差のある減少を指摘できたが,逆にその数の増加が示唆された.以上から,ACTHの急性刺激によってコレステロールエステルの急激な利用・動員ないし補給が進められて,ACTH投与1時間後0副腎皮質束状層細胞内脂肪滴は縮小・消失ないしは多数に分散・微小化された状態になると推論した.

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