関西医科大学雑誌
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麻酔薬としてのKetamineの中枢抑制作用に関する電気生理学的研究III
自律機能,脳波トポグラフィを対象として
増田 安民
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1992 年 44 巻 4 号 p. 284-293

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抄録

ウサギを用いて,Ketamineの自律神経系への影響を検討するため腸管運動,血圧および心拍数を対象とする実験を行った.また,脳波トポグラフィを行い,Ketamineの脳波活動への影響を検討した.
1)Ketamine投与により腸管の自発性運動は影響を受けなかった.
2)脳幹網様体刺激による腸管運動の抑制効果はKetamine投与により減弱される傾向を示した.
3)平均血圧および心拍数は,KetalnineO.3-5.0磁g/kg投与下では有意の変化を示さず,1Q . Omg/kg投与下にて,5%以下の危険率で有意の低下を示し,平均血圧が15.5%,心拍数が9.6%低下した.
4)脳波トポグラフィの結果としては,Ketamine O.3-0.5mg/kgの投与下では,Delta帯域およびTheta帯域のパワー値および帯域構成比には変化が認められなかったが,Beta1帯域およびBeta2帯域のパワー値および帯域構成比には増加傾向がみられた.この結果,脳波上からもKetamineの少量投与(0.3-0.5mg/kg)下では,意識レベルはむしろ高まった状態にあることが明らかとなった.
5)Ketami織eO.3-10.0mg/kgの投与下では,全周波数帯域においてパワー値には有意の増加が認められた.帯域構成比ではM一帯域,Beta1帯域およびBeta2帯域に増加傾向がみられた.

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