日本下肢救済・足病学会誌
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総説
重症虚血肢に対する外科的治療の現況 ~血行再建法選択とバイパスの実際~
内田 恒奥田 紘子吉田 博希
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2018 年 10 巻 3 号 p. 117-125

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抄録

最近のCLIはほとんどが糖尿病を背景としており,潰瘍形成の病態をよく理解し治療法を選択する必要がある.血管病変は下腿動脈病変が中心で,3.5mm径以上の良好な1本の静脈によるバイパスが可能であれば大量の血流供給,長期開存性が見込めるため外科的血行再建の役割は大きい.一方,全身動脈硬化症を有するハイリスク集団であり,到達目標を正しく定め,EVT,外科的治療を有効に選択していくことが重要となる.最近本邦で報告されたSPINACH STUDYでは,WIfI分類W-3,fI2-3,足部小切断後など組織障害の大きい例では,はじめから外科的治療が推奨される結果であった.多様な全身状態・局所病態に対応する治療戦略はまだ確立しておらず,新しいWIfI分類などを上手く活用し,他診療科,他職種との共通認識を深めることにより新たな治療戦略が構築されていくことが望まれる.

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© 2018 日本下肢救済・足病学会
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