抄録
近年,大腿膝窩動脈領域の血管内治療は大きく変わりつつある.すでに慢性完全閉塞を含めた初期成功率はほぼ100%に近づいており,いかに長期開存を維持するかが課題となっている.新たに登場した薬剤溶出ステント,薬剤溶出バルーン,VIABAHN®がこの期待に応えるためには,適切なvessel preparation=解離をコントロールしつつ十分な前拡張を得ることが重要となる.Vessel preparationに用いるデバイスとして種々のdebulking deviceが欧米では使用されており,debulking+new deviceによる治療成績が評価されつつある.現時点で本邦で使用可能なvessel preparation deviceはscoring balloonのみであるが,これらを用いて十分な前拡張を行うことで,より大きな内腔を得つつ,解離を最小限に抑え,長期成績の改善につながっていくことが期待される.