2019 年 11 巻 1 号 p. 10-16
わが国の透析患者は高齢化の傾向が続いている.高齢者は加齢による種々の機能低下や複数の合併症を有することが多く,さらにはサルコペニア・フレイル・認知症などの問題もあり介護と支援が必要となることが多い.高齢者の透析医療においては,透析療法の導入が患者にとって医学的利益があるかを熟慮し,血液透析(HD)と腹膜透析(PD)の選択では,それぞれの利点と欠点を十分に検討するとともに,quality of life(QOL)の高さや満足度により重点をおき,介護者の負担軽減への考慮も必要となる.介護と支援を必要とする患者では,地域包括ケアシステムの構築を図るなかで,医療保険と介護保険の連携や,地域連携の強化により社会資源の活用を進めることが不可欠であり,assisted PDは高齢者の透析を支えていく重要な手段の1つと考えられる.